労働者派遣事業の許可申請3

労働者派遣事業の許可申請3

2017年01月30日(月)9:53 AM

特定派遣からの切り替え

 最近、特にご質問が多いのが、特定派遣からの切り替えについてです。特定派遣については、あらためてご説明する必要もないかもしれませんが、簡単に記しますと、「常時雇用する従業員のみを派遣する」という労働者派遣業です。一般的に「登録型」といわれているような、普段は派遣会社に登録だけしておいて、派遣先や仕事が見つかった場合に、登録されている候補者から選抜し、派遣スタッフとして活躍していただく方法とは異なります。
 では、特定派遣と一般派遣とは何が異なっていたのでしょうか?
 一言で記しますと、特定派遣は「届出」でできたのですが、一般派遣は「許可」が必要であったということです。
 「許可」ということになりますと、色々と審査があるのですが、「届出」でよければ、条件が調っていれば、申請した日に派遣業の番号が振り出されていました。そして、この特定派遣の事業者様は一般派遣の事業者様より圧倒的に多くいらっしゃいます。
 しかし、平成27年9月の法改正以降はこと「特定派遣」は無くなり、平成30年9月までに、従来で言うところの「一般派遣」の許可を取る必要がでてきたのです。

一般派遣の許可を取るのに注意すべき点

 現在、特定派遣をもっている会社が一般派遣(現在は、特定、一般の区別はありませんが、わかりやすように「特定」、「一般」と記します)の許可を得るのに何がポイントとなるでしょうか?
 ポイントは大きく分けて2点あります。

  • 財産的基礎があること
    これは、「基準資産」というもので判断されます。貸借対照表をご確認ください。
    基準資産=資産総額-負債総額-繰延資産-営業権(のれん)
    上記の算式で求められた基準資産が、
    ア.基準資産が1事業所あたり2000万円以上
    イ.基準資産が負債総額の7分の1以上
    ウ.現金預金が1事業所あたり1500万円以上
  • 事務所の要件をおさえていること
    これは、
    ア.事務所の広さが概ね20㎡以上の広さがあること
    イ.事務所の独立性が確保されていること
    ウ.プライバシーが保護される面談スペースがあること
    エ.鍵の掛かるキャビネットがあること
    などが条件なのですが、特定派遣の場合はア.の条件は必須のものではありませんでした。
    特に、自宅兼事務所というような事務所で始められた会社様は、ア.イ.の条件に抵触する可能性がでてきてしまいます。

 上記のポイントのうち、1については暫定的な緩和措置があります。
 ※小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置
 ◎1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10 人以下である中小企業事業主
  →当分の間、基準資産額:1,000 万円、現預金額:800 万円
 ◎1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主
  →平成30 年9月29 日までの間、基準資産額:500 万円、現預金額:400 万円
 ただし、注意が必要なのは「1つの事業所のみ」というのは、派遣業を行っているのが1箇所という意味ではないことです。事務所が2箇所あるのであれば、その時点でこの配慮措置は利用できません。

今後の対応

 今後の対応については、大きく分けて2種類あるでしょう。

  • 頑張って、上記の許可基準に適合させて事業を継続すること
    これができる事業者様は、早めにそれを目指しましょう。ぎりぎりになりますと許可申請が殺到します。なお、早めに許可を取った場合は、現在の特定派遣は廃止する手続きを取ります。
  • 残念ですが、廃業すること
    この廃業の方法にもいくつか方法はあります。
    実は現在、大手の一般派遣業の会社さまが、特定派遣を営んでいる比較的小さな会社さまにアプローチをしているという噂もあります。貴社にとって最適な方法を見つけ出してください。


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